出土するオーパーツ

地中から発掘されるオーパーツ


哺乳類さえ生まれていなかったはずの時代の地層から人間の足跡の化石が見つかる。割った石炭から生きたカエルが出てくる。岩の中からコインや金鎖が出土するーー。時折、地中からは歴史学の常識からはかけ離れた出土品が見つかることがある。

▼目次
「石の塊から生物が出てくるのなんて、珍しいことじゃないよ」
足跡、コイン、金鎖ーー続々と出土する人類の痕跡

「石の塊から生物が出てくるのなんて、珍しいことじゃないよ」

時折、地中からは歴史学上の常識からかけ離れたものが発掘されることがある。

1862年に行われたロンドン万国博覧会では、石炭のなかで生きていたとされるカエルと、カエルの形にくっきりと凹んだ石炭が展示され、「ホンモノか」「詐欺か」で論争が巻き起こっている。
同時期、リンカンシャー地方の「スタンフォード・マーキュリー」紙(1862年10月31日付)も、2メートルある石の床岩のなかからカエルが見つかったと伝えている。
さらに古い記録もある。
1761年版の英国年鑑に収録された、フランスのアンリ3世(1574〜1589)の主治医、アンブロワーズ・バレのエピソードだ。
「ムードン村に近い私の領地にいたとき、非常に大きく頑丈な石を割る砕石の様子を見ていたら、ある石のなかから突然ヒキガエルが出てきた。それはピンピンとしていたが、石にはカエルの入り込む隙間はなかった。
(中略)
その人夫は、『大きな石の塊のなかにカエルなどの生き物がいるのを見たのは、これが初めてではない』と語った」

ペンシルヴァニアで発見されたカエルのミイラ。ストーブの中で爆発した石炭から出てきた
イギリスで発見された石炭の中に閉じ込められていたカエル。口も肛門もなく、それでも 5週間生きた

似たような話は日本にもある。
江戸時代、ある外国人が長崎を出航する直前、宿の主人に「庭石を5両で譲って欲しい」と頼んだ。
主人は了承したが、外国人は3年間預かってくれという。
それも主人は了承したが、3年経っても外国人は引き取りに来ないので、処分しようと石を割ると、中から赤い魚が出てきた。
その翌年、外国人がやって来て言うには「あの石を丁寧に擦って磨けば透明な水槽のようになり、中の魚を透けて見ることができた。なんてことをしてくれたのだ」と落胆したという。

足跡、コイン、金鎖ーー続々と出土する人類の痕跡

現在から3億5920万年前から2億9900万年前までの時期を、地質学では石炭紀と呼ぶ。名前の由来はこの時代の地層から多く石炭が採れるからだ。
陸上では、シダ植物が発達し、昆虫や両生類が栄えた。この時代、人類はまだ存在しなかった。
にもかかわらず、この時代の砂岩に残された、人間のものらしい足跡が見つかることがある。

「アメリカ科学ジャーナル」誌(第3巻139号)は、1882年にネヴァダ州カースンの近くで、砂岩に残った人間のものらしい足跡が発見された時の模様を詳しく報じている。
さらに3年後の1885年、今度はケンタッキー州のベリアで同様の足跡が発見されている(「アメリカン・アンティクウェリアン」誌 第7巻39号)。
もしこれらが人間の足跡だとするならば、地質学上の時代推定の定説がすべてひっくり返ることになる。

これらの化石に残った足跡は、見た目は人間の足跡に酷似しているが、たいていは人間の足跡よりもサイズが大きい。
アメリカの内務省が発行した「ホワイトサンズの歴史」という小冊子に掲載されている事例も同様だ。
1932年、ニュー・メキシコ州のホワイトサンズで採掘した石膏岩から、13の人間の足跡が見つかった。
そのサイズは長さ約56センチ、幅は25.4センチもあった。
1896年に発行された「アメリカの人類学」に載った発掘記事でも、ウェストバージニア州で長さ37センチの人間の足跡が発掘されたと報じられている。

裸足ではなく靴を履いた人間の足跡らしき化石も見つかっている。
1927年、ネヴァダ州フィッシャー・キャニオンでは、仕立ての良い二重縫いの革底に見える足跡が刻まれた化石が発掘された。
後に、地質学者の調査によって、この化石を含んだ石灰石があった地質は、三畳紀(1億6000万年〜1億9500万年前)のものと判明した。
現在の「常識」では、地球上に初めての霊長類が誕生したのが、およそ1億年から7千万年前とされており、革靴を履いた人類が当時いたはずがない。

フィッシャー・キャニオンで見つかった、革靴様の足跡

人工物らしきものが出てくることもある。
1844年6月22日付の「ザ・タイムズ」紙には、スコットランドで2.4メートルの地下から採った石のなかに、金でできた鎖が入っていたとの記事が載っている。
また、1851年12月24付けの同紙には、ある坑夫が偶然切り出した石英の塊を割ってみると、中からまっすぐの鉄釘が出てきたと報じている。

ほかにも、1786年から1788年にかけて、フランスのエクサンプロヴァンスの採石場の15メートルの深さの石灰石地層から、コインが見つかっている。
そのコインには「1397」刻まれており、石炭紀の石炭の中から見つかっている。繰り返すが、石炭紀は約3億年前だ。

石炭から見つかった「1937」の刻印があるコイン


そのほかにも、三葉虫を踏みつけたサンダルらしき足跡や、恐竜の足跡と併存して人間の足跡が見つかった例など、地中からは歴史学の常識から逸脱した出土品がたびたび発掘される。
いずれも「常識外だ」として、真正面から研究されることはないこれらの出土品。
ひょっとすると、歴史の常識を覆す「証拠」なのかもしれない。

三葉虫を踏みつけたサンダルらしき足跡