Twitter上の予言者たち

新型コロナの蔓延は予言されていたのか? 日本を代表する3人の占い師を徹底調査


日本を代表する占い師たちは、新型コロナウイルスによる大混乱を事前に占っていたのか?
2020年を占う際、100年に一度の歴史的事件と言われるこの新型コロナ騒動はひとつの注目ポイントとなる。
そこで、ゲッターズ飯田氏、水晶玉子氏、松原照子氏、日本を代表する占い師・予言者である彼らによる2020年の占いを掘り起こし、徹底検証してみた。

▼目次
ゲッターズ飯田氏は新型コロナを占ったか?
水晶玉子氏は新型コロナを占ったか?
松原照子氏は新型コロナを占ったか?

ゲッターズ飯田氏は新型コロナを占ったか?

いま、日本で最も忙しい占い師と呼ばれるゲッターズ飯田氏。彼は、自身の公式サイト内、2020年1月1日更新の記事内で、2020年の見通しを語っている。

おくまん「上半期と下半期で日本の景気や価値観はだいぶ変わりそうですか?」
飯田「2020年からほんと価値観が大きく変わる運気になって参りますので、水晶玉子さんと話しましたけども、フランス革命が起きるぐらいの。ガラって。まあ、価値観が変わる運気が始まるんですけども、2020年だけで変わるわけじゃないので、変わり始める。」
おくまん「え、例えばどういうことですか? 現金持たないとか?」
飯田「まあ、そういうのとか、国がなくなるとか病院がなくなるとか、大きいシステムがだんだん無くなってくるような流れになるので。あと、お金に価値が無くなってくるので、ライブとか。儚いものに価値がだんだん出てくるので、ほら、ライブって一回見ただけで無くなっちゃうじゃないですか(中略)残るものが逆に価値がなくなって、でも、YouTubeがこれだけ残ってくるとさ、逆に残るものって価値無いじゃん。いつでも見れるは、別に価値無くなるから。」

【ゲッターズ飯田が2020年を大予想】ガラっと価値観が変わる運気

対談相手の「おくまん」氏は、片桐仁やエレキコミックが所属する芸能事務所、トゥインクル・コーポレーションのピン芸人だ(元カオポイント)。

【ゲッターズ飯田が2020年を大予想】ガラっと価値観が変わる運気より

飯田氏は、「価値観が変わる」という、受け取りようによってはどうとでも取れる表現で、2020年を表している。
実際、新型コロナウイルスの蔓延によって、収束までの一時的なものであるにせよ「人とは対面で会うべきではない」「外出はするべきではない」という、価値観の大転換は起こっている。
また、通信網の発達とパソコン、スマートフォンの機能向上によって、Zoomなどを活用したビデオ通話、ビデオ会議も、ほとんどストレスなく活用できるようになった。
その結果、対面での打ち合わせや会議を、現在、ビデオ会議で行っている企業も多い。
これも、「対面こそが至高」とされていた、日本の古き企業体質の大転換と言えなくもない。

「よりライブの価値が高まる」旨も指摘している。
三密(密集、密閉、密接)を防ぐため、音楽、演劇、お笑いなど、あらゆるライブ活動が中止を余儀なくされている。
その結果、ライブや公演に対する飢餓感が高まっているのは間違いない。
しかし、「YouTubeなどが発達したことによって、相対的にライブの価値が高まった」わけではない。この点において、飯田氏の占いが当たったというには、疑問が残る。

「神秘的なものが流行する」という言葉も残している。

飯田「神秘的なものが流行ったりとか、だから、新たな占い師が出てきますよ。2020年ぐらいから『ああ、ちょっと面白い占い師出てきたな』みたいな。」
おくまん「え、それはもう、飯田さんのお子さんが赤い仮面やって占い師始めるとかじゃないですよね?」

【ゲッターズ飯田が2020年を大予想】ガラっと価値観が変わる運気

おくまん氏がつまらないボケを振ってしまった結果、このあと、飯田氏の「かつて『新しい占い師が出現すると占いに出たから誰だろうと思ったら、オレだった』」という、どうでもいい自慢話が延々と続く。
しかしこの「神秘的なものが流行する」という言葉は注目に値する。
新型コロナウイルスが蔓延したことによって、相当の水木しげるファン、妖怪ファンではない限り知らなかった「アマビエ」が一大ブームとなっている。ただし、新しい占い師にはまだお目にかかれていない。
また、世情不安から、「予知・予言」「地震予知」などへの注目もますます高まっている。

おくまん「2020年、あとは気をつけるべきことはなんでしょう?」
飯田「夏はちょっと危ない。ほんとに。大きい事故起きるよ。大変です。なので、本当に気をつけて欲しいので。」
おくまん「夏にそういう、大きいのがある可能性がある」
飯田「あるあるある。運気的にね。だから、あんまり悪いことなければいいな、と思ってますけど。まあでも、起きやすいからって全員が巻き込まれる訳ではないですけど、まあ暑いとかはね、あるから、やっぱり。特に日本は夏運気良くないのよ、真夏。」
おくまん「えっ、それは2020年が?」
飯田「いや、もともと。」
おくまん「毎年?」
飯田「毎年。」
おくまん「夏、運気悪いんだ!」

【ゲッターズ飯田が2020年を大予想】ガラっと価値観が変わる運気

「素人のスターが現れる」という予言の次に、この「夏に大きな事故が起こる」との言葉を残している。
この記事を執筆している5月1日現在、全世界的なパンデミックという、100年前のスペイン風邪によるパンデミック以来の出来事が起こっている現在、これ以上の「大きな事故」が夏に起こるとは思えないのだが……。
答え合わせは2020年の年末まで待ったほうが良さそうだ。

企業、経済活動についても述べている。

飯田「権力者とか、大きい企業があと1年だけなので。2021年ぐらいまでしかないので、大きい所が、ガタってくる。」
おくまん「よし! じゃあトゥインクルコーポレーション大丈夫だ! こっからだよ! ちっちゃい所が」
飯田「ちっちゃ過ぎて逆にやばいよ。常にやばいよ。」
おくまん「ええ〜大きい所はそうなんだ。」
飯田「大手は、まあいくでしょうね、そろそろ。2020年からガタってくるから。」
おくまん「そっか、価値観が変わり始めるから。」
飯田「そう、もともとあったこういう価値ってものが無くなってくる部分では、ちょっと変わってきますね。」

【ゲッターズ飯田が2020年を大予想】ガラっと価値観が変わる運気

4月30日段階で、新型コロナウイルスの影響による倒産は累計で109件(東京商工リサーチ調べ)。
猛烈な勢いで宿泊業、外食産業などを中心に倒産が相次いでいる。
ソフトバンクグループも、3月期の業績見通しを下方修正、最終的な赤字は9000円億円に膨らんだと発表している(NHKニュース)。
新型コロナウイルスによる自粛、緊急事態宣言によって、日本経済が大ダメージを受けたのは間違いない。
この後、世界恐慌以来の大不景気がやってくると予測する経済学者も多い。
飯田氏の占いが当たっているようにも思えるが、「価値観が変わったから、旧来の大企業にダメージがあった」わけではなく、純粋に、経済活動が遅滞したことが理由だ。
現象としては当たっていても、占いが当たっているとは言い難い。

●結論
・新型コロナウイルスのパンデミックについての言及はなし
・旧来の考え方に変化がある→テレワークの浸透、旧弊な企業活動の変化などはあった
・神秘的なものが流行する→アマビエが大流行
・2020年の夏に大事故が起こる→まだ正解かどうか不明
・権力者、大企業に変化→大企業どころか、中小・零細企業、個人事業主にも大ダメージ
=周辺領域に関しては当たっているようにも思えるが、肝心の新型コロナに関しては0点

水晶玉子氏は新型コロナを占ったか?

オリジナル新占術で知られる水晶玉子氏は、「日本一当たる」と評判の人気占い師だ。
雑誌やテレビなどにも頻繁に登場する。
水晶氏が2020年を占った記事がインターネット上には2つ確認できた。
「ミモレ」内の2019年9月27日の記事と、水晶氏の公式HP内で2020年1月6日に更新された、こちらも人気占い師である鏡リュウジ氏との対談形式の記事だ。
まずは「ミモレ」内の記事から見てみよう。

オリエンタル占星術によると、来年の2020年は畢宿(ひっしゅく)の年。畢宿は経済や流通、生産と消費、水や食料といった、人間が生きていくうえで欠かせないものを象徴するのだとか。また西洋占星術では、国家や社会をつかさどる山羊座に星が集中。これらの要素を重ねると「国」や「国と国との関係」が来年のキーワードに!

【水晶玉子】今年の振り返りと2020年先取り占い「来年は国のカタチが変わるかも⁈」
ミモレの記事よりインタビューを受ける水晶玉子氏

上記の文章は、ミモレ編集部内の担当編集によるリード文だ。
そのなかで、「経済や流通、生産と消費、水や食料といった、人間が生きていく上で欠かせないもの」が象徴になる年、と占っている。
これはまさに、現在の状況を表しているといっても過言ではない。
経済も流通も世界的に大ダメージを受け、生産も消費も停滞。水や食料、トイレットペーパーやマスクの買い占め騒ぎも日本では起こった。

また、国と国との関係性にも注目が集まると述べている。
感染症拡大防止のため、各国ともに入国制限を敷く異常事態が起きている。
経済的な交流は続いているが、これは実質的な「鎖国」が世界的に起こっていることを示す。
従来の国と国との関係性に大きな変化は確かに生まれている。
人々の生活の変化についても語っている。

「私の予想は【テレワークの浸透】。オリンピック開催中のさまざまな交通規制だけをみても、都内に住んでいたり働いている人への影響は必至ですよね。でもそれで「出社するのも大変!」という状況になったら、「じゃあ会議はスカイプでやろう」とか「これを機にテレワークを導入しよう」という会社もたくさん出てくると思うんです。そうすれば、都心部への人口集中も今後変わってくるかもしれない。
前回の東京オリンピックでは高速道路が整備されたことで東京の景観が一気に変わったけれど、今度のオリンピックで変わるのはきっと目には見えないもの、人の動きや働き方なのではないかしら。最新の技術を使った仕事のデジタル化が、2020年のオリンピックで一気に進む気がしています」

【水晶玉子】今年の振り返りと2020年先取り占い「来年は国のカタチが変わるかも⁈」

テレワークに関しては、ドンピシャで正解と言っていい。
ただし、「そろそろテレワークが浸透させるべきだ」という声は一般的にも広がっており、水晶氏の占いが特別先進的なわけではない。
ましてや、オリンピックが理由でテレワークが広まったわけでもない。
それどころか、オリンピックは延期されているが、そのことにも触れられてはいない。

「10月から消費税が10%に引き上げられますが、同時にキャッシュレス決済によるポイント還元もスタートします。現金で買うより実質安いとなれば、今まで利用していなかった人たちにも一気に普及するのではないでしょうか。
あとは、私たちが普段口にしている食べ物についても考えさせられる年になりそう。すでに今年はサンマが不漁で、資源に限界があることを思い知らされましたよね。ほかにも食品ロスやプラスチックごみの問題など、食を含むあらゆる“モノ”への意識が変わっていくはず。消費のカタチそのものが変わる時期なんだと思いますね」

【水晶玉子】今年の振り返りと2020年先取り占い「来年は国のカタチが変わるかも⁈」

こちらに関しては、うーんと頭を捻ってしまう。
消費税増税に伴ってキャッシュレスが進んだか? と聞かれれば、進んだような気もするし、してないような気もするし…というのが、一般的な印象ではないだろうか。
食べ物に関する認識も、それほど大きく変化があったようには思えない。

水晶氏の公式サイト内の鏡リュウジ氏との対談記事にも触れておこう。
ただし、こちらは正直、あまり大したことは書かれていない。
強いてピックアップするならこの部分だろうか。

さらに水晶玉子さんは、「進歩した道具や物をいかに人間が使っていくか、そのルール作りや考え方を生み出していく、整えていく時代になるんじゃないか」とお話していらっしゃいました。
水晶玉子さんが着目しているのが、自動運転自動車のルール作りや、クローン技術などの倫理的側面。これまで「土の時代」で培ってきたものを、その物質的価値に囚われることなく、人が考え、適切に使っていくことが求められる時代だとおっしゃっているわけですね。

対談【水晶玉子×鏡リュウジ】2020年の運勢「200年に1度の大変動の年?」

これまで存在はしていたが、ほとんど広く活用されてこなかったビデオ通話が、テレワークの推進によって爆発的に普及した。
「進歩した道具や物を〜」のセンテンスは、その意味合いにおいて当たっているとも言える。
しかし、後段のような人間の倫理や正義に関わる面においての変革は、正直「いまそれどころじゃないです」といった状況だろう。

●結論
・新型コロナウイルスについて言及していない
・国と国との関係性に変化→正解。各国が入国制限を敷く非常事態
・2020年にテレワークが浸透する→大正解。ただし理由は異なる
=周辺領域に関しては当たっている部分はある。ただし、その変化の主要な原因は新型コロナウイルスの蔓延であるため、このパンデミックを占えていないという点は、評価できない

松原照子氏は新型コロナを占ったか?

今回、上記3人を調べてみて、最も驚いたのがこの松原氏の「予言」だ。
結論から先に言えば、東京オリンピックの延期と新型コロナウイルスの蔓延を当てている。
今回は新型コロナウイルスにフォーカスして調査しているため、「当たった!」と驚いているが、松原氏が過去に予言したもののなかには、大きくハズレているものもたくさんあるだろう。
どうか、くれぐれもこの記事をきっかけに松原氏を盲信することのないようお願いしたい。

2019年1月12日、松原氏の公式ブログ内で、氏が連載している「月刊ムー 2月号」の告知を行っている。そのなかの一節からまずは見てみよう。

月刊「ムー」で、松原照子が「不思議な世界の方々」から得た情報を編集部が調査していく〈松原照子の大世見〉を連載中です。
2月号(2019年1月9日発売)のテーマは、「新型インフルエンザが発生し、パンデミックが宣言される!?」です。
原稿用紙に向かうと、自然に鉛筆が動いていくという松原氏。サラサラと書いた文章は「この数十年間、私たちが経験したことのなかったようなウイルスが発生し、人から人へと感染して大流行する」。「フェーズ6」という数字も見えたとのこと。
これらが意味するものとは? パンデミックは発生するのか? 詳しくは、ぜひ2月号をご一読ください。

幸せへの近道

新型インフルエンザが発生し、パンデミックが宣言される。
ほぼ、そのとおりのことが2020年5月の日本で起こっている。
ただし、こちらの記事では2020年に起こるとは言っていない。
起こる起こると言っておけば、いつか起こるという考え方もないではない。
それでも、3人の過去の発言を調べた中で、唯一パンデミックに触れているのは彼女だけだ。

こちらもすでに多くの記事で触れられているので知っている方も多いだろう。
松原氏は東京オリンピックの延期(または中止)を的中させている。

あるお集まりの席で「東京でオリンピックは開催されますか」と質問されたとき、間髪を入れず「ない」と答えてしまいました。
そんな自分に驚いたと同時に、なぜあんなことをいったのか、いまだに気になっています。

「松原照子の大予見」学研プラス刊/2016年8月30日発行
松原照子の大予見(2016年8月30日刊行)

2020年5月現在、東京オリンピックは2021年に延期が決定している。
少なくとも、2020年の東京オリンピックは開催されなかった。
この一文は2016年に発行された書籍に書かれている。
発行当時、4年後のオリンピックが延期または中止になりそうな世界的な出来事が起こっていると予測できた人がどれだけいたのかを考えると、この一文の希少さが際立ってくる。

今回、3人の発言を調査した。
そのなかで、パンデミックについて触れていたのは松原照子氏ただひとりだった。
彼女は東京オリンピックの延期(または中止)についても、ほぼドンピシャで当てている。
とはいえ、繰り返しになってしまうが、「起こる起こる」と言っておけば、いつか起こる。
たまたま当たった2つの事柄だけに注目して、有象無象の外れた予言について眼をつぶるのは極めて危険だ。
松原氏には何らかの特異な能力があるのかもしれない。
その能力の正贋を評価できるのは、まだ先の話だ。