2011年9月9日号の「フライデー」に、「保存版 巨大地震の『前兆現象』20 完全リスト」と題された記事が掲載されている。動植物の異常行動から、地震雲や発光現象などの自然現象まで、地震の前兆現象と伝わるものひと目で分かるよう一覧化されている。
ここでは、近年の異常現象報告と併せて最新情報をお届けする。
▼目次
1.イヌが異常に興奮し、訴えるように吠える
2.猫が柱や木に登り、顔を洗う動作をする
3. ペットの小動物が殺気立って攻撃的になる
4.カラスが「ギャー」と鳴き、集団で姿を消す
5.魚が大量に水面近くに浮上し、漁獲量が増える
6.ミミズが大漁に地面から這い出てくる
7.季節外れの植物が突然花をつける
8.オジギ草が夜でもないのに閉じる
9.地震雲が見える
10.空中・海上で異常な発光が見える
動物の異常行動から自然界の異常現象まで 前兆リスト10
1.イヌが異常に興奮し、訴えるように吠える
日本愛玩動物協会が行った調査によると、阪神・淡路大震災の時、犬は26.2%、猫は39.5%が地震の前にいつもと違う異常行動を取ったという。
ニュースサイト「ハピズム」の記事によると、「特に イヌの先祖のオオカミに近い『バセンジ』『シベリアンハスキー』が激しく反応。『柴犬』『秋田犬』『チャウチャウ』も電磁波に敏感」に反応するという。
犬の機転によって、飼い主が大地震の被害を免れた例もある。
1948年に起こった、中央アジア・トルクメニスタンの地震は、10万人の被害者を出した。
この大地震発生の直前、ある女性が飼っていたスピッツが騒ぎ、パジャマをくわえてベッドか ら降ろそうとした。
不思議に思いながらもドアを開けると、スピッツは主人を家の外に引っ張り出した。
その直後に大地震が起こったが、スピッツのおかげで女性は助かっている。
飼っている犬が日頃とは異なる行動を取るようなときには、注意を払ったほうが良いかもしれない。
2.猫が柱や木に登り、顔を洗う動作をする
ある調査によると、大地震前に飼っている猫に見られた異常な行動にはどのような種類があったか? との質問に対して、以下のような回答が寄せられた。
- しきりに顔を洗う
- 家の中を走り回る
- 高い木に登って鳴く
- 家からいなくなる
これらの行動は「家からいなくなる」以外は日頃、飼い猫が行っている日常的なものだ。
猫を飼っている方ならよくお分かりだろう。
しかし、「異常に鳴く」「いつもと違った声で頻繁に鳴く」際には、注意を払ったほうが良いかもしれない。
阪神淡路大震災の際にも、猫を飼っていた一人暮らしの老人が、地震発生の直前に猫の異様な鳴き声で目を覚まし、ついでにトイレへ向かったことで家具の下敷きで死なずに済んだという事例が報告されている。
また、子猫も併せて飼っている場合、親猫が子猫をくわえてどこかへ逃げ出そうとする行動を見せることもあるようだ。
3. ペットの小動物が殺気立って攻撃的になる
ハムスターやリスなどの小動物の異常行動も報告されている。
阪神淡路大震災の発生前に起こった宏観現象をまとめた「前兆証言1519!」には、次のような事例が掲載されている。
- 大震災の3日前に、飼っていたハムスターが、落ち着かずにカゴの金網によじ登ってガリガリ掻きむしり、翌日に死んだ
- ハムスターを6匹を飼っていたが、1週間前からオスが暴れだし、翌日に1匹が噛み付かれて血だらけになって死んだ
- 地震の1週間ほど前からエサを食べなくなり、地震の前後に死んだ
筆者はハムスターの飼育経験がないため、上記の例がどれほど珍しいものなのか、判断するのが難しい。ハムスターを飼育していれば、普通に有り得ることのようにも見える。
ただ、いつもとは違う、なにかおかしな様子を見せることはあるのかもしれない。
日常的に関心を抱いて接し、日頃とは異なる怪しい行動を見せたときには注意をはらいたいところだ。
4.カラスが「ギャー」と鳴き、集団で姿を消す
カラスに限らず、鳥が異常に騒ぐ、鳥の大群が空を飛び回る、逆にいつもはいるはずの鳥たちが一気に姿を消す、これらの現象が起こった後に、大地震が来たという事例も多く残っている。
特にわかりやすい行動に現れるのが、カラスのようだ。
一般社団法人関西経済同友会がまとめた地震宏観現象に関する調査報告「地震前兆情報の利活用に関する調査・研究と提言」内の「(b)動植物にみる異常」で、異常行動を見た鳥類はどの種類だったか? とのアンケート結果がある。
- カラス(35%)
- 分類の不明(21%)
- スズメ(14%)
- カモメ(5%)
- ハト(4%)
「鳥の異常行動を見た」と答えた回答者の3人にひとりが、その鳥の種類は「カラスだった」と答えている。
ただ、カラスは身近な鳥であり、かつ印象に残りやすい。
なんとなく「あれはカラスだったかも」と答えている可能性はゼロではないかもしれない。
5.魚が大量に水面近くに浮上し、漁獲量が増える
深海魚「リュウグウノツカイ」などが水揚げされると「地震の前触れでは」と話題になるのは、昨今の恒例行事のようになっている。
「深海魚が上がると地震が来る」という言い伝えは昔からあり、1743年に刊行された江戸時代の奇談集「諸国里人談」にも同様の逸話が記録されている。
2019年6月には、東海大学海洋研究所と静岡県立大学のグループがこの言い伝えを「迷信」で根拠がないと断定する調査結果を出し全否定しているが、念の為、注意はしておきたい。
6.ミミズが大漁に地面から這い出てくる
「太いミミズが固まって地中から出てくる」
「ミミズが大量に地上に出てきて死ぬ」
地震の宏観現象として広く知られている。
1999年に台湾中部で起きた嘉義(かぎ)地震の前には、無数のミミズが地中から這い出し、震源とは反対の方向に向かって移動しているのが目撃された。
7.季節外れの植物が突然花をつける
植物と大地震の関係では、芥川龍之介の逸話が有名だ。
1923年の8月、芥川が鎌倉の平野屋に宿泊た際、宿の周りに季節外れの山吹やフジ、菖蒲が咲き乱れていた。それを見た芥川は「天変地異が起こる」と訴えたが、誰も相手にしなかった。
関東大震災が起こったのは、それから数週間後の9月1日のことだ。
「前兆証言1519!」にも同様の記載が数多く残されている。
- 地震前に椿の花が狂い咲きした
- 朝顔が夏から半年も咲き続けた
大地からの影響を直接受ける植物の様子にも気を配ったほうが良さそうだ。
8.オジギ草が夜でもないのに閉じる
大阪大学名誉教授の池谷元伺氏が著した「大地震の前兆こんな現象が危ない 動物・植物・気象・家電製品…に起こる兆候 緊急改訂」にも、多くの地震宏観現象が紹介されている。
そのなかに「オジギ草がまさにお辞儀をするように下を向く」例が挙げられている。
オジギ草は、接触、熱、風、振動といった刺激によって小葉が先端から一対ずつ順番に閉じていくことで知られる。
通常は、葉が閉じるとそのまま若干、垂れ下がるような運動を見せるが、地震の前には、まるでお辞儀をするかのように下を向くのだという。
9.地震雲が見える
地震雲に関しては、多くの学者や研究者が、雲の発生と地震の関連性について否定している。
だが、大地震の前後、多くの人々が奇妙な形の雲の発生を目撃しているのもまた事実だ。
2020年4月中旬から下旬にかけて、Twitter上に多くの地震雲の報告が挙げられていたことは、すでにこちらの記事でご紹介した。
その後、4月下旬から5月上旬にかけて、全国的に多くの地震に見舞われているのはご承知のとおりだ。
科学的な根拠はなくとも、なんらかの関連性があるのではと思いたくなる要素を、地震雲は持っている。
10.空中・海上で異常な発光が見える
地震雲とは異なり、地震前の異常発光現象は科学者や研究者もその存在をおおむね認めているようだ。研究が行われ、地震と発光現象との関連性についての論文も数多く残されている。
地震発光現象についても、当サイトでご紹介した。
関東地方で中規模地震が頻発した5月上旬、千葉方面で撮影されたという動画をご紹介している。
実際に、2008年の四川大地震、2011年のカンタベリー地震などでも、発光現象は目撃されている。
今後、関東地方で大きな地震が発生しないよう、祈るばかりだ。
▶後編に続く